グローバルな教育技術を開発するネイティブ・イングリッシュ・インスティテュート(NEI)とSmallStep.AIは、画期的な研究結果を本日発表した。これは、機械学習により開発した課題の使用によって、仕事上における英語のコミュニケーション能力がどの程度向上するかについて調査したものである。

 SmallStepの創設者であるTaras Zagibalov博士とDmitry Kan博士は、機械学習プログラムを一連の自然言語処理アルゴリズムに基づいて構築した。本調査では、ある日本企業において、社員が関与する特定業務に合わせた内容で学習教材をカスタマイズした場合、機械学習(ML)が言語学習にどのような影響を与えたかについて調査した。

本調査の対象者は、希少疾病のための細胞療法などバイオ医薬品の研究開発を行うJCRファーマ株式会社の社員である。対象者19人を2グループに分け、会話能力レベルの分布が同等になるよう各グループに配分した。JCRの関連分野および科学技術会議や規制機関との意思疎通のため社員が必要とするテーマを選択し、それに関する読解の課題を毎週全員に与えた。

MLグループには、特定業務内容に合わせカリキュラムをカスタマイズした”カスタムカリキュラム”にて問題を作成。カスタムカリキュラムの問題は、選択問題と穴埋め問題を組み合わせた課題を提供した。もう一方の対照グループには、通常のカリキュラムを読みその内容に関する自由形式の質問に回答してもらった。この調査は、NEIのオンラインプラットフォームを用いて、2018年1月15日から4月30日まで実施した。対象者はカスタムカリキュラムの12の課題を、1週間に1課題の割合で、個別に、各自のペースで実施し完了した。

調査の最後に、対象者はカスタムカリキュラムを総括する一連の質問に口頭で回答した。この最終口頭試験において、MLグループは対照グループの2倍の好成績を収めた。

JP1.png

 

「この結果は、自分に関連する情報を通して文法や語彙を勉強することが学習者にとって有効であることを明確に示しています。」

 NEI学習アドバイザー主任 Kristina Ekiz

最終調査では、MLグループのうち80%は、カスタムカリキュラムの方が対象グループが実施した以前のやり方より「仕事上の質問に答える能力を向上させることができた」と回答。また、60%は、カスタムカリキュラムのほうが「自分のニーズ との関連性が高い」と回答した(他の40%は「ほぼ同じ」と回答)。

 
JP2.png
 

MLグループの対象者は18時間の学習を全て完了したが、対照グループのうち44%は途中でやめてしまった。学習者がMLによる課題に取り組み続けることができた理由については、今後、さらなる調査が必要である。

「JCRファーマは国際的に事業展開しています。科学系の特定分野や企業課題に合わせて作成されたカリキュラムは、社員にとって大変貴重な学習体験となっています。」

 - テイジトミオ(JCRファーマ株式会社)

JP3.png